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【4】単に破格の割引きだけが売りなのか?
本家のGrouponも含めて、パッと見、この類のサービスの最大の魅力は「割引率」だと思われがちです。確かにそのインパクトは大きいのですが、しかしお店の側から考えると、本質はそこではないと思うのです。それに気づいていないサービス運営会社が多いんじゃないかな。
飲食店は一種の装置産業です。店舗を構えており、そこには有限のテーブルとイスがあります。飲食店は、そのテーブルとイスを超える数のお客様を迎えることはできません。50席しかないお店は、一度に50名のお客様しか受け入れられないのです。つまり、一日あたりの売上の上限が最初から決まっています。
このように、アップサイドに上限がある以上、実は飲食店にとって大切なのは「いかにダウンサイドのリスクを減らすか」になるわけです。これは言い換えれば「空席を減らす」ことが大切だということですね。空気を座らせておくくらいなら、割引きしてでもお客様に来てもらった方が良い。
そして実はGroupon型サービスはこの「空席を減らす」ことに絶大な威力があるわけでして、その辺のニーズにしっかりと応えることができたサービスが生き残っていくのではないでしょうか。
ただ、これを成功させるには、極めて大きな課題があります。
例えば、金曜日にGrouponを使って集客したいと思うお店は少ないでしょう。なぜなら、もともと金曜日はお客様の多い日で、半額をテコに集客しなくても、十分に席が埋まる可能性が高いからです。だからこそ、飲食店がGrouponに期待するのは、「集客の弱い日」にいかにお客様を集めてくれるか、になります。
そこで必要なのは「いつが暇な日なの?」という需要予測。そのお店が暇になるであろう日を正確に予測し、その日にピンポイントでクーポン集客をかけることです。これができれば、お店にとっては理想のサービスとなり得ます。
しかし、現在のGroupon型サービスはどれもその点を考慮していないように思えます。「二ヶ月間」など比較的長めの有効期限だけが設定されているだけですから、クーポンを買った人は繁忙日でも閑散日でも、期間内ならいつでも利用可能です。すると結果的に、せっかくのかき入れ時の「給料日の金曜日」なのに、客席はクーポンを握りしめたお客様で埋まってしまうという悲劇が生まれかねません。
【5】問題をどう解決していくか
ここまでは問題点を挙げてきましたが、それでもGroupon型のサービスは上手に使うと絶大な効果を発揮するのは間違いのないところです。従来のグルメサイトと比べたとき、その破壊力は絶大です。
だから、そのメリットを最大限に活かしつつ問題点を解決することが不可欠なのですが、ここでポイントになるのは以下の二つでしょう。
●正確な需要予測を行い、そのお店の「暇な日」に集客できるように設計する
●一過性の集客に終わらせず、「常連様」を増やす仕組みや仕掛けを用意する
これは私自身が以前から主張していることなのですが、従来のグルメサイトによる販促活動は、おしなべて「焼き畑農業」的な取り組みになりがちです。どのサービスも「新規顧客の獲得」にばかり目を向けていて、「いかにして常連様を増やしていくか」を真剣に考えているサービスは皆無と言っても過言ではありません。飲食店がグルメサイトにお金をかけてもかけてもなかなか結果が出ない状況は、「焼き畑農業」的なアプローチをしている限り続くでしょう。
そしてそれは、各社のGroupon型サービスでも全く同じことが言えます。どのサービスを見ても、どこもかしこも「新規顧客の獲得」を売りにしているようにしか思えません。しかし、その考え方のまま「人気の飲食店を獲得しよう!」とただひたすら営業を頑張っても、飲食店とお客様の双方がハッピーになれるサービスができあがるとは思えません。
私がGroupon型のサービスを提供するとしたら、まず「飲食店と運営会社が長く深くつきあう」ことを前提にしてサービスを組み立てるでしょう。長くつきあい、そのお店の強みと弱みを理解し、集客の強い日と弱い日を正確に把握し、その中でどのようにクーポンを設計したらよいかをしっかりプランニングする。また、新規顧客向けのクーポンだけでなく、常連さんだけを対象にしたクーポンを売ることがあっても良いでしょう。その辺をバランス良く混ぜたクーポンのプランニングも大切です。
あるいは、新規顧客向けクーポンで来店された方を、どのように次の来店に結びつけていくかという、店内での仕掛けも大切になります。そこをしっかりと作り込めず、単に「クーポンで集客しまっせ!」というだけのサービスでは一過性の集客にしかなりません。だからこそ、飲食店としっかりつきあうことで、現場での取り組みと連動させたクーポンを設計することが必要だと思うのです。
確かに米国ではGrouponが大成功していますが、そもそも飲食業界の成熟度やクーポン文化の浸透度は米国と日本では全く異なります。単に米国で成功しているからといってそれを安易に模倣したクーポンサービスを提供しても、日本ではなかなか成功しづらいのではないかというのが僕の考えです。これは裏を返せば、比較的クーポン文化の確立していない飲食以外の分野だったら、日本でも十分に勝算ありということでもあります。(間違ってたらごめんなさい)
【6】豚組の事例
このGroupon的な取り組みを成功していく上で、一つ参考になりそうな事例をご紹介しておきます。
先日、ワールドカップの日本×パラグアイ戦の当日、豚組しゃぶ庵でいきなり当日夕方に個室4部屋がキャンセルになったのです。まあ皆さん盛り上がってましたからキャンセルも致し方ないとはいえ、当日の夕方のキャンセルはきつい。
今までだったら「仕方ない」とあきらめざるを得ないシチュエーションですが、しかし今回は違いました。それはツイッターのおかげ。私が軽い気持ちでツイッターに書き込んだことで、驚くようなことが起きたのです。
一言目はこれ。まだ愚痴にすぎません。
「ちょっとショック。今日さっき、個室の予約が4部屋キャンセルになったそうです。ワールドカップの影響の模様。なんとも・・・」
http://twitter.com/hitoshi/status/17316485533
二言目に、半ば破れかぶれでこんなことを書いてみました。
「さすがにこのキャンセルは悔しいから、今日来店してくれる人がいたら、もう、半額に値引きしてもいい。誰かいる?」
http://twitter.com/hitoshi/status/17316629398
これが思った以上の反響となりました。
あっという間にリプライとRTが続き、45分後にはキャンセルになった4テーブルが全部埋まっただけでなく、お断りも数組発生することになったのです。これに一番驚いたのは僕自身。まさかこんなことになるとは。油断して取引先と商談をしてたのですが、その途中で何気なくTLを見たら大反響になっていて、もう驚くのなんの・・・
その時の模様はtogetterにまとめてありますので、詳しくはこちらをご覧下さい。http://togetter.com/li/32574
で、この一連の動きをあとになって改めて考えてみたのですが、これって、メディアこそツイッターでしたが、内容はまさにGroupon的な展開ですよね。日本×ウルグアイ戦の当日に、いきなり予約なしでお客様が何組も来てくれるなんて、今までだったらあり得なかったことです。しかしそれをほんの45分で全部埋めてしまった。驚き以外の何ものでもありません。
どうしてこんな事が可能になったか。それはこういうことではないでしょうか。
豚組の中村さんのグルーポン系クーポンビジネスに対する見解。さすが、分かってらっしゃる。
(via kashino)
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